職場で挨拶を返してもらえない日の、心の守り方

おはようございます、と言った。 返ってこなかった。

聞こえていなかっただけかもしれません。忙しかっただけかもしれません。 それでも、その一秒のことが、午前中いっぱい頭に残ってしまう。

そして、こんなことで気にする自分のほうが情けない、と思う。 そういう朝を、何度も過ごしてこられたのかもしれません。

小さいことで傷つくのは、大げさだからではありません

このつらさが人に伝わりにくいのは、出来事が小さすぎるからです。

怒鳴られたわけでも、仕事を外されたわけでもない。 言葉にしてみると、挨拶が返ってこなかった、それだけ。誰かに話しても、気にしすぎだよ、と言われて終わってしまいます。

けれど、実際に消耗しているのは、一回の出来事ではありません。 毎朝、同じ場所で、同じことが起きる。しかも、そのたびに小さすぎて言えない。この繰り返しのほうです。

わたしは、これを雨だれのようなものだと思っています。 一滴では、何も起きません。手のひらで受けても痛くもない。 けれど、同じ場所に落ち続けると、石はへこみます。へこんだ石を見た人が、たった一滴の水がこんなことを、と驚くのは、落ち続けた時間のほうを見ていないからです。

ですから、傷ついていることのほうは、疑わなくていいと思います。 問題は感じ方の強さではなく、毎日同じ場所に落ちているという条件のほうにあります。

鑑定師としての見立て

わたしが学んできた帝王学陰陽五行の見方では、その人の心の中身を、いくつかの星に分けて捉えます。そして、どの星が前に出ているかで、人との関わり方の作法がずいぶん変わります。

たとえば、こういう違いがあると教わりました。

順序立てて話したい星の人は、こちらの話が終わるのを待ちますし、割って入られるのを嫌います。 和やかに場を合わせる星の人は、相づちの多いやりとりが得意で、二人きりより複数人のほうが力を出します。 結論から先に聞きたい星の人は、話が長くなるのを嫌います。逆に、ゆっくり品よく話すことを大事にする星の人もいます。 そして、一対一の静かな場でこそ言葉が出る星の人もいます。この型の人は、大勢の中では本当のことを話しません。

朝の挨拶というのは、実は、この違いがいちばん出やすい場面です。 同じ「おはようございます」でも、あいさつを一日の合図として使う人と、まだ自分の段取りの中にいて外の音が入っていない人がいます。前者から見れば、返さない人は冷たく見える。後者にしてみれば、返さなかったことにすら気づいていない。

ですから、返ってこなかったことを、そのまま評価として受け取るのは、少し早いかもしれません。 これは、我慢しましょうという話ではありません。相手の中身を決めつけずに済むと、こちらの消耗が減る、という実際的な話です。

もうひとつ、時期のことも添えておきます。 巡りには、外に向かって開いていく季節と、内側にこもって整える季節があります。内にこもる季節にいる人は、人と関わること自体が重くなり、口数が減ります。 去年までよく話していた人が、今年になって急にそっけない。そういうことは、相手の側の季節が変わっただけ、ということも実際にあります。

そのうえで、はっきり申し上げておきたいことがあります。 特定の人だけが繰り返し外されている、複数人でそれを共有している、仕事の情報まで回ってこない。そういう形になっているなら、それはもう作法の違いではありません。 その場合は、気の持ちようで扱うものではなく、記録を残して、職場の相談窓口や外部の窓口に持っていってよいことです。自分の受け取り方の問題として抱え込むのが、いちばん消耗します。

同じ生まれの人でも、環境や生き方によって歩む道は変わります。星は誰かを裁くための道具ではなく、こういう作法の違いがあるのだな、と眺めるためのものです。

明日の朝からできる、小さな一歩

相手を変える話ではありません。落ちてくる雨だれの当たり所を、少しずらすための工夫です。

  • 挨拶を、投げるものではなく置くものと考えてみる。置いた時点で終わり、と決めておくと、返事を回収しにいかずに済みます
  • 今日返ってきた挨拶のほうを、ひとつだけ数える。返ってこなかったほうは覚えているのに、返ってきたほうは記憶に残りません
  • 挨拶する相手を、朝はひとりだけ決めておく。全員に向けて放つより、一人に渡すほうが、返ってくる確率も気持ちの収まりも変わります
  • 出社してからの最初の十分を、人と関わらない用事にあてる。朝いちばんに人の反応を浴びない日をつくるだけで、午前中の疲れが変わります
  • 帰る前に、その日あったことを一行だけ書いて置いてくる。持ち帰らないための手続きです。もし相談することになったときには、その一行が記録になります

すべてやる必要はありません。ひとつだけで十分です。

おわりに

挨拶が返ってこないことに傷つくのは、あなたが人をちゃんと見ている証拠でもあります。 見ていない人は、返ってこなくても気づきません。

その感度は、明日から役に立たなくなるようなものではありません。 今日のところは、当たり所を少しずらして、あとはゆっくり休んでください。

職場での消耗そのものについては、職場の人間関係に疲れたとき——合わない人がいるのは、あなたのせいではないにも書いています。

もし気持ちの落ち込みや体の不調が続いているようでしたら、専門の相談窓口や医療機関も頼ってくださいね。朝がつらい状態は、それだけで十分に相談していいことです。

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